77.「ポッポさん」

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暖かく晴れた日曜の朝、会社でラジオを聴いて気持ちよく月曜日からの営業
の仕込みを進める。お腹が空いたので10時ごろ、いつものファミマに食事
を買いに向かう。元々日曜の朝は人も車通りも少ないが、最近は更に少なく
い。のどかな晴れた日曜だ。

行きがけにハトが1羽、居酒屋の玄関マットに残っているらしい何かをつつ
いて食べている。私には見えないが食事中の「ポッポさん」だ。

そういえば最近飲み過ぎの人も減ったのか深夜に道路へ、ゲロをプレゼント
する人も減った。

「ポッポさん」も食べていくのに必死なのだろう。私は食事の邪魔にならな
いように通った。

ファミマでも「ポッポさん」を見習って、なるべく安めの弁当を買う。店員
はワタナベ店長ひとり。50歳前で名札にワタナベと書いているのでワタナ
ベ店長と呼んでいる。

いつもは店員も数名いるが、店長ひとり。井上陽水のようなしゃべり方で、
あまり話さないので私もあまり話さない。お弁当を温めている途中に。妙な
笑顔で「ゴールデンウィークはお休みですか?」と店長。私は「いえいえ、
休めても2日間ですね。不動産が大変で別業種の営業の仕込みをするので。
でもビジネスマンの外食が減って店長も安泰じゃないですか」と返す。店長
「いやぁ私も15年やってますけど、今は大変です。フランチャイズなんで
持っかれる分は持ってかれるし」と苦悶の表情。

私も「下がりっぱなしではないのでと頑張っているんですが、あまり無理な
されずに」と残して店を出た。

帰りに「ポッポさん」は歩道まで出て食事中。私は居酒屋の玄関マット通っ
て帰った。みんな食べていくために必死なのだ。