芸術品の価値

インテリアの教科書を読み返すなかで、新たに感じた一文があった。芸術の価値とは、その作者の精
神的な知性の意味にある。時代背景、作者の努力、哲学、意志、願望によるとの内容で、そこには生
き様も加わってくるのだろう。

ゆえにピカソと同じ絵を、私が描いたとしても、同じ価値は無い。逆に私を大切に思ってくれる人に
とっては、ピカソ以上の価値がある絵とも成りうる。

組織でビジュアルを制作するにおいて、組織のトップクリエイターが制作した作品には組織の作品と
しての価値があり、組織の下部の人材が制作した作品は、認められにくく、組織の作品としての価値
が低くなる可能性がある。極論であるが、そう感じた。

しかし、これを変えられる方法も同様に感じる。

それは、新人であっても、組織のトップクリエイターを目指し、業界のトップ、世界のトップを目指
すという姿に、周りから感心を持たれ、そして生み出される作品は、認められる可能性が高まる点だ。

逆を言えば、組織の上部に居ようとも、技術、精神面、他者からの信頼、他者への良い影響力、その
生き様に執着し、磨きを掛ける事に弱腰で、諦めた人間の作品や行動は、認められず、無価値となる。

子供のへんてこな絵に価値があるのは、子供らが本能的に生きようとする姿、純粋に上を目指す心、
その人生の輝きが表現されたものであるから、人は価値を感じる。

会議で発言することを諦めた場合、上層部での定例会への参加を諦めた場合、組織の成長への考えを
止めた場合、そのスタッフが生み出す作品は、趣味のビジュアルまで下がってしまう。そこを踏まえ
た上で、制作物を見直して欲しいとスタッフに伝える。

すると、真剣に絵柄に取り組む事ですねと聞き返されたが、会社、組織である以上、真剣に上を目指
し、生きようとし、自身を磨く事も含まれるのだと理解するには、まだ時間がかかりそうだと感じた。