6.「覚えておかねばならない点」

外回りをしていると、当時いろんな気持ちで回っていた道を通り、いろんな
ことを思い出す。

思い出すというのだから、それまでは忘れているのだが、雨の中でなかなか
アポが取れずに落胆しながら歩いた道や、アポが取れて今すぐならOKとい
われて走った道。なぜ自分はこんなにダメなのかと考えたり、チカラを振り
絞って電話をした企業や、社長からの指示があって勇気を出して怒鳴り込み
にいった企業など、社内でも私宛に郵便局員が二度に渡って内容証明を届け
てきた案件が2度もあった。今となってはスタッフにも「上司に内容証明
届かせてどうするんじゃい」などと笑えるが、当時の本人は必死だった。し
かしそうした経験の上に今の自分がある。

「出来るわけがない!」と何度思ったことか、弱音を吐けない自分の性分に
も随分困る。実際は、なんとか乗り越えているが、常にまだまだダメダメと
いう声が消えない。

何故こんなに自分を責めてしまうのかとも思うが、良い点に向いている面も
ある。ただ自責が強くなると周りにも厳しくなるので上手くバランスを取っ
ていかねばならない。

今は毎日売り上げを見るたびに、どうしようもない不安に陥る。誰かに話せ
ればよいが、なかなかそうもいかない。こうして文にするのも気が引けるが
普段は落胆を感じさせないよう振る舞っているので良しとしたい。

しかし人間忘れるもの。様々な思いも数年前の日記や日報を読み返すと、案
外忘れている。そこで常々思うのが、特に良からぬ判断は一過性の思いで実
行することなかれ。人間案外いい加減なものだ「結局忘れるのだから」とい
う面は常に覚えておかねばならない点だ。