汚すのが好きな男

汚すのが好きな男がいた。

掃除などしない。

汚したいのだ。

その男に何人もの人間が綺麗であることの
気持ち良さを教えようとしたが、
根っから汚したいので、無理だった。

そこで私はその男に言った、

このハンディーモップを思い切り汚してくれ。

奥の方の埃をつけたり、

高いところの埃をつけたり、

下敷きになっている埃などをつければつけるほどよい。

そのへんの埃じゃダメだぞ！

出来るかな？

それ以来、男は誰よりもハンディモップを汚すようになった。
そして雑巾もホウキもチリトリも、掃除機の中も汚すようになった。

部屋が綺麗になったが、男は汚すのが好きなのだ。

人は決して変わらない。変えられるのは自分自身。
出来るのは、それぞれ自分自身の切り口を変える事だけだ。

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